曇空と子供とコドモ 



どんよりと重い灰色の空の下
ふとあげた視界に
見知った灰色を見つけた

「旦那」

距離はおよそ15m
呼び掛けても
聞こえなかったのか
視線の先の人物はピクリとも動かない

「旦那」

あと10m

急いで歩いているせいか
傘をさしているのに雨がかかる
別に隊服が濡れるとか
そんな事気にもならないけれど

「旦那ってば」

5m

傘をささずにボケッと突っ立ってる
ずぶ濡れのアンタは
すっげぇ気になるんでさァ

「無視ですかィ?」

あと4歩

「旦っ…」

肩を叩こうと持ち上げかけた腕が止まる
垣間見た横顔に
それ以上進むことができなかった

「今の俺じゃあこれ以上は近付けてもらえないって事ですかィ」

たった4歩

でも
呟いた声が届かない4歩
手を伸ばしても届かない4歩

アンタにとって俺はこんなもんなんですかィ…?
ちりちりと燻るような感覚が体中に広がっていく
胸倉掴んで無理矢理顔を向けようか
そんな馬鹿な考えを振り払うように
肺いっぱい空気を吸い込んだ
一瞬息を止めてから
灰色の空へ向けて思い切り吐き出す

「旦那ァ!!」

驚いて振り向いた顔をみて
思わず笑みがこぼれる

「団子でも食いにいきやせんか?」

例え今は無理矢理でも
いつか追い着いてみせまさァ



・終・




φアトガキ 

最初は沖田の言葉は
「今度団子でも食いにいきやしょう」
っていう
今すぐは無理だけどいつかアンタの隣に並ぶよ
みたいなのにしてたんだけど
沖田ってもっと強引さと子供っぽさがあるから
きっと無理矢理にでも隣に並ぶよね
と思い変更
振り向いた銀さんを見て思わず笑みをこぼしたのは
自分の声はちゃんと届くと
知ったから

沖田といい銀さんといい動かし辛いですね〜(>_<)
もっと良い文を書けるようになりたい☆.。.:*・°


2006/08/28